こんにちは、エンジェル投資家のびずぷら(@bizpla11)です。
株式投資型クラウドファンディングの登場によりベンチャー投資(エンジェル投資)が身近になりました。
しかしエンジェル投資のデメリットとして「すぐに換金できない」があります。
この「すぐに」とはどの程度なのでしょうか?
一般にエンジェル投資の場合、IPOもしくはM&Aにより「投資を回収する」ことをExit(イグジット)と呼びます。
この記事では、ベンチャー投資でExitまでどの程度の期間待てばよいのか、その辺りを探ってみたいと思います。
事業投資の場合は、事業からの撤退条件も含めて事前に「出口戦略」を考えておくことが多いです。Exitは必ずしもポジティブな要素ばかりではありません
エメラダ型新株予約権=最長10年

はじめに株式投資型クラウドファンディングのサービスの提供者は、Exitまでの期間をどう考えているのか見てみましょう。
エメラダ・エクイティでは、エメラダ型新株予約権の期間を最長10年と定めています。
つまり投資してから10年間たつと予約権が消滅します。
最後に株式に転換することは可能ですが、その後のExitの可能性はかなり低いと見られているのです。
10年という投資期間は、一般的なベンチャーキャピタルの運用期間と同じです。この程度は我慢する必要があるのかもしれませんね。
海外の資料を見ていると、長いこと倒産しないけどExitもしない案件を「ゾンビ」と表現していました。ゾンビ銘柄への投資はできるだけ避けたいですね
エメラダ型新株予約権が10年経過したらどうなるかは、以下の記事にも詳しく書いてあります。
ベンチャー経営者はどう考えているのか?

次に資金調達をしようと思っているベンチャー企業は、どの程度の期間でExitを計画しているのでしょうか?
株式投資型クラウドファンディングのFUNDINNOとエメラダで資金調達をしている会社をサンプリングして事例としてみてみます。
会社名 | 投資からExit | 設立からExit |
Bank Invoice株式会社 | 5年 | 7年 |
株式会社アナムネ | 6年 | 9年 |
株式会社Growther | 6年 | 9年 |
Far Yeast Brewing株式会社 | 3年 | 9年 |
株式会社Smart Trade | 4年 | 6年 |
株式会社SARAH | 5年 | 9年 |
いずれも計画中のものであり、最終的に保証されているものではありません。FUNDINNOは明確にExitの期日を書いてあるわけではないですが、ロードマップの最終の年月で算出しました。
少数の例で恐縮ですが、平均するとクラウドファンディングでの資金調達から5年程度、設立から8年程度でのExitを目指していると言えそうです。
エンジェル投資家目線でいえば、投資時点からExitまでの期間は3年〜6年で計画されています。この期間が忍耐期間ですね。
逆に当初計画のこの期間をすぎてくると、ゾンビ銘柄になり得る可能性も出てきます。
当然ベンチャーなので計画変更が必要な場合もあると思いますが、当初計画に対する進捗をウォッチするということはとても重要です。このサイトでも「エンジェルNews!」で随時配信したいと思います。
びずぷらも投資をしたFar Yeast Brewing社は募集から3年でのExitを計画しているので、かなり早い計画となります。すでに定番商品も順調に販売しており、募集時点のステージが他とは違ったのでしょう。
一方で設立から9年でのExitを目指すという点では、今回の中では平均的なところを目指していると考えられます。
Exitまでの期間の統計データは?

最後にベンチャーがIPOもしくはM&Aをするまでの統計データを見てみます。
出典はSPEEDAの「【2017年最新版】国内ベンチャーのEXIT動向をみる」からとなります。
国内ベンチャーEXITにおいて、設立からEXITまでの平均年数をみる。買収・子会社化・主要株式取得または事業譲渡は、平均年数は8年(中央値6年)であった。IPOでは平均年数は16年(中央値13年)であった 。したがって、買収・子会社化・主要株式取得または事業譲渡のEXIT準備が平均的には早い。
このデータを見ると、ExitとしてIPOなのかM&Aかで期間が変わりそうです。IPOは準備も含めてそうとう大変なのでしょう。
クラウドファンディングの事例から見た数字では、設立から8年でのExit計画が平均値でした。M&Aの場合は妥当な期間とも言えそうですが、IPOを目指すのであればかなりチャレンジングな目標となります。
まとめ

エンジェル投資(ベンチャー投資)は、投資を回収するまでの期間が非常に長いです。ベンチャーがExitするまでの期間がどの程度かを見てきました。
・投資から5年
・設立から8年
・投資から10年
・設立から16年(IPO)
あたりを一つの節目としてみておくとよいでしょう。
それでは!
